2013年6月30日日曜日

Smith Westerns/ Soft Will

久しぶりにちゃんとしたアルバムレビューを。
大好きなシカゴのインディーロックバンドSmith Westernsの新作『Soft Will』の感想です。



2011年にリリースされた2nd『Dye It Blonde』は本当に傑作だった。
1stから2ndへの変貌と比べたら、今作はこれといった衝撃さや新鮮さはない。
でも、2年という歳月を経て、前作でたどり着いた世界観を熟させたと思う。
SupergrassやBlurのような90sブリットポップを彷彿させ、かつ
現代っぽさも感じるSmith Westernsの甘くてポップなローファイサウンドは健在だった。
プロデューサーは前作同様Chris Coady(Beach House, Year Year Years)。

オープニングを飾る3AM Spiritualから一気に夢の世界に連れ出されるようである。
ピアノ伴奏の入った唯一のインストの曲であるXXIIIで一気にとろける。
なんて甘美でドリーミーな世界なんだろう。
青臭い歌声と叙情的なギターの旋律にどきどきする。
彼らの世界観はとても甘くって、海に漂っているような気分になり、
感情が溢れ出てきて気持ちが高揚する。
胸が苦しくなるぐらいのその感情は、
なんだか誰かを好きで好きで堪らない純粋な気持ちに似ていて、
音楽でそんな感情を呼び起こせるのはすごいんじゃないか、と思う。

私が彼らの音楽に強く惹かれるのは、自分の音楽に対する姿勢のせいだと思う。
自分にとって音楽へ求めるものはエンターテイメントではなく、
日常で感じられない刺激であり、快楽であり、現実逃避なので。
彼らのファジーな世界は一瞬で現実を忘れさせ、白昼夢を見ているかのよう。

最後のVarsityまでいくときらきらしたシンセサウンドが夢の終わりを告げているようで、
なんとなく名残惜しい気分になってしまう。
真夏の夕暮れにぼんやり聴いてただただひたすら逃避してたい。

収録曲
1. 3AM Spiritual
2.Idol
3. Glassed
4. XXIII
5.Fool Proof
6. White Oath
7. Only Natural
8. Best Friend
9.Cheer Up
10. Varsity

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